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技術ニュース82 火山

弟子)
頭を雲のうえにだーし♪日本人なら誰でも富士山の荘厳な光景をみたら、グッと来るのではないですか?
師)
「日光を見ずに"結構"と言うな」という諺より、「富士山を見ずに"結構"と言うな」といったほうが、内容がよく伝わるかもしれないね。そのくらい日本の原風景と火山は密接な関わりがあるんだ。例えば全国に28地域ある国立公園のうち、実に18地域に火山が含まれているという事実がある。
弟子)
そうなると、日本中風光明媚なところは火山だらけってことになりそうです。
師)
気象庁によれば日本の活火山は108とされている。この活火山について、火山学的に評価した火山活動度でランクA~Cに区分している。火山には単成火山と複成火山がある。複成火山は、同じ場所で何度も噴火が繰り返されて作られた火山で、そのうち火口からの噴出物が積み重なって綺麗な円錐形をした火山は、成層火山と呼ばれる。その代表が富士山というわけだ。
弟子)
じゃあ、今の富士山の形になるまで何回も噴火を繰り返してきたということになるんですね。あれだけ大きな山になるにはどのぐらい昔から活動を繰り返してきたんでしょうか。
師)
いま見える山の形の活動は10万年くらい前に始まったと考えられており、噴火と休止を繰り返すことで現在の美しい地形を作ったということになる。火山は、一旦噴火を始めると恐ろしい被害をもたらし、人々の生命や財産を奪うなど、生活に大きな影響を及ぼす。一方、長い目で見れば火山は人間に豊かな恵みをもたらしている。数十万年にも渡る火山の営みの中で、災害と恵みは常に表裏一体の関係にあるんだ。
弟子)
まず、火山活動に伴う災害はどんなものがあるのでしょう?
師)
火山の活動によって生ずる災害には、軽微な窓ガラスの破壊から、多数の人命の損失、世界的な気温の低下まで、様々な種類がある。災害の原因で主要なものは、火山から噴出する溶岩、テフラ、火山ガスなどの噴出物によるものだ。そのほか噴出物が2次的に引き起こす土砂災害なども条件によっては大きな被害を引き起こすこともある。
弟子)
では、噴火の被害を防ぐにはどういった対応をすればいいんでしょうか。
師)
噴火は防ぐことは出来ないため、もし噴火が起きたらどうなるかということを念頭に置いて、正しい情報の収集と提供、被害の及ぶ範囲について記したハザードマップの作成や周知、市民に対する啓発および教育活動といった対策が重要だろうね。
弟子)
このような被害をもたらす一方で、火山による豊かな恵みって何になるんでしょうか。景色ってのはすぐ思いつくんですが。
師)
もちろん景観も立派な恵みの一つだが、その他にも火山の周りは必ずといっても良いほど存在する温泉、火山噴出物の多孔質に起因する周辺部の豊富な湧水、金属資源や豊かな土壌なども火山によってもたらされたと考えられるものも多い。日本という国は火山と切っても切れない関係であることを理解して、火山との共生を図っていく事が重要なのではないだろうか。
弟子)
火山って怒って災害を出したり、土や水を恵んでくれたり、神様みたいだね。でもそんな火山の神様と友達付き合いができる日本って、なんか嬉しいや。

富士山の火山ハザードマップ
富士山火山防災協議会 内閣府HPより

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