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技術ニュース78 地中レーダ探査

(Q)
地中レーダ探査とはどんな技術ですか?
(A)
地表から電磁波を地中に放射し、透過や反射などの現象を利用して、掘削せずに地中の状況を探る手法です。
(Q)
地下の何が分かるのですか?
(A)
地中の電磁波の反射面構造から空洞や埋設物、地層境界の状況をイメージングできます。探査の概要図に示したように、受信した反射波を測定順に並べた断面として出力します。埋設管や空洞の場合は双曲線状の反射波の集合体が、地層境界の場合は連続した反射面が検出されます。

探査の概要
(Q)
電磁波とは何ですか?
(A)
「電場と磁場が交互に発生して伝播していく波」のことです。電磁波には、光、電波、赤外線、紫外線、X線などが含まれ、地中レーダ探査では主に電波に該当する超短波~極超短波帯の周波数を送信源としたパルス信号を用いています。

電磁波の種類(http://ktai-denjiha.boo.jp/faq/qa1.htm より引用)
(Q)
この探査にはどんな特徴があるのですか?
(A)
長所は、分解能(物標を識別し得る能力)が高いこと、探査が簡便であることです。この特徴から、空洞調査や埋設物調査の分野で広く利用されています。
(Q)
空洞や埋設物調査以外の用途はありますか?
(A)
遺跡調査や鉄筋コンクリートの配筋調査にも使われています。探査できる深度は浅いですが、地層構造調査にも利用された事例はたくさんあります。

埋設管検出事例

空洞検出事例
(Q)
短所はあるのですか?
(A)
短所は、探査できる深度が浅いことです。火山灰や乾燥した砂地盤の場合、2~3mぐらいまで探査できますが、粘性土のような含水比の大きい地盤の場合は1mも探査できないことがあります。
同様に地下水面下の探査も難しいので要注意です。
調査を計画する際には専門技術者に相談するようにしましょう。
(Q)
探査装置はどのようなものなのですか?
(A)
電磁波を送・受信するアンテナ、制御・記録器、ケーブル、電源などの機器で構成されています。
目的により周波数の異なるアンテナを使い分けます。空洞や埋設物調査の場合は、一般に中心周波数が200~500MHz程度、鉄筋コンクリート配筋調査の場合は、1,000MHz以上のアンテナを用いることが多いようです。周波数の違いにより、下表のような特徴があります。

パラメータ 送信周波数
分解能
探査深度

これまで話してきたのは、一般的に利用されているパルス波を使った地中レーダのことです。最近では、擬似ランダム信号を用いたレーダ探査もあり、深度5m以上の空洞を調べた実績があるようです。また空洞や埋設物の大きさを特定するための解析技術の研究も盛んに行われており、将来性に期待が持てる探査技術と言えます。

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