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技術ニュース79 自然由来の重金属

(新人)
自然由来の重金属とはなんですか?
(先輩)
我々の住んでいる地球上には重金属を含む岩石や土壌が広く存在しているよね。このうち経済的に価値のある重金属は鉱石として利用されているわけだ。しかし、大部分は含有量が少なく利用価値がないかわりに、環境汚染の対象と見なされているわけだ。これらのうち、自然界にあって環境基準の対象である、カドミウム、六価クロム、水銀、セレン、鉛、ひ素、ふっ素とほう素の8元素とその化合物をいうのだよ。重金属とは、本来比重が4以上の元素をいい、ふっ素やほう素はそれにはあたらないけれど、第二種特定有害物質として扱うことから、便宜上重金属に含めているんだね。
(新人)
自然界にあるのにどうして問題になるのですか?
(先輩)
今年(平成22年)、土壌汚染対策法(土対法)が改正されて、自然由来の土壌であってもそれに含まれる重金属は健康被害防止の観点から法の対象にすることになったんだ。岩石に含まれる重金属については法の対象にはなっていないわけだが、知らないうちに健康や環境へ影響を与えることもあるため、適切に管理する必要がでてきたためだ。
(新人)
どんな場合に問題になるのですか?
(先輩)
環境への影響のおそれがある場合としては、重金属を含む岩石を掘削する場合と、掘削した土砂を埋め立てるなどした場合だね。
(新人)
自然由来の重金属に対してどのように対応したら良いのですか?
(先輩)
自然由来の重金属が人為的原因のそれと違ってやっかいなところは、岩石に含まれる黄鉄鉱などが空気や水にふれることによって酸性化が起き、重金属が新たに溶け出したり長期的に溶出が促進されることがあることや、重金属が地質条件に規制されて複雑に広範囲に地下に存在していることがあるね。また、土対法の対象である土壌と異なり試験方法や長期的な溶出のリスクに対する基準が明確でないことなどもあるね。 最近、自然由来の重金属に対する調査や対策の技術的な指針(マニュアル)が出されているので、それらを参考にするのがよいが、問題がありそうな場合には専門家と相談しながら対応を検討するのが賢明だね。

自然由来の重金属に対する対応の流れ(概要)
建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル
(暫定版)(案)、
土木研究所資料第4156号(平成22年1月)を参考に作成

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